ぬりえる

デイサービスの塗り絵レク、現場のスタッフさんに聞いたらリアルだった

デイサービスレクリエーション介護現場

デイサービスで行われるレクリエーションの中で、塗り絵はかなりポピュラーな存在です。

特別な道具がいらない。準備が比較的楽。座ったままできる。認知症の方でも取り組める。こういった理由から、多くの施設で塗り絵が採用されています。

ただ、実際の現場ではいろいろな苦労があるようです。デイサービスのスタッフさんに話を聞く機会があったので、そこで見えてきたリアルな状況をまとめてみます。

準備がけっこう大変

まず、塗り絵の「準備」に意外と時間がかかるそうです。

多くの施設では、インターネットの無料サイトから塗り絵のイラストをダウンロードして印刷しています。「介護アンテナ」「ハートページナビ」といったサイトが定番です。

ただ、利用者さんの状態はひとりひとり違います。認知症の進行度、手指の器用さ、視力、好みのモチーフ。全員に同じ塗り絵を配ると、ある人には簡単すぎて退屈、別の人には難しすぎて挫折、ということが起きます。

理想は利用者さんごとに適切な難易度のものを選ぶことですが、毎回20人分の塗り絵を探して印刷する時間は、忙しい現場にはほとんどありません。

結果として「全員同じものを配る」になりがちです。

「また花?」問題

無料サイトの塗り絵イラストには限りがあります。

しかも高齢者向けに適切なもの、つまり線が太くてパーツが少なすぎず多すぎず、モチーフが身近なもの、という条件を満たすイラストとなると、選択肢はさらに絞られます。

半年もすると「使える塗り絵」はひと通り使い切ってしまいます。

「また同じ花だね」と利用者さんに言われてしまう。スタッフさんとしても申し訳ない気持ちになるけれど、新しい素材を探す余裕がないのが実情です。

片付けと保管の問題

塗り絵レクが終わった後の対応も、地味に大変です。

完成した作品をどうするか。利用者さんによっては「持って帰りたい」という方もいれば、「いらない」という方もいます。

飾りたいという利用者さんの作品は施設内に掲示しますが、壁のスペースにも限りがあります。古い作品を外すタイミングにも気を遣います。

色鉛筆やクレヨンの管理もあります。利用者さんが帰った後にテーブルの上に散らばった色鉛筆を集めて、折れたものを交換して、ケースに戻す。毎回のことなので、手間が積み重なります。

レク記録の書類作業

介護の現場では、レクリエーションの記録を残す必要があります。

「誰が参加したか」「どのくらいの時間取り組んだか」「利用者の様子はどうだったか」——こうした情報を、レク終了後にスタッフが記録します。

塗り絵レクの場合、「田中さん:花の塗り絵。15分集中して取り組む。途中で手が疲れたため休憩。完成はできなかったが楽しそうだった」みたいなことを、利用者さん一人ひとりについて書きます。

この書類作業が、スタッフさんにとって大きな負担になっています。レクの時間よりも記録の時間の方が長い、という話も聞きました。

うまくいっている施設の共通点

一方で、塗り絵レクがうまく機能している施設もあります。聞いてみると、いくつかの共通点がありました。

ひとつは、難易度を3段階くらいに分けて用意していること。「かんたん」「ふつう」「むずかしい」の3種類を用意しておいて、利用者さんが自分で選ぶ。選ぶ行為自体がリハビリにもなるそうです。

もうひとつは、完成後に「見せ合う時間」を作っていること。塗り終わった作品を隣の人に見せて「きれいね」「この色いいわね」と声を掛け合う。これで塗る時間30分+見せ合い15分で、レクの時間がしっかり埋まります。

あとは、季節のテーマを設定している施設もありました。「今月は秋」と決めておくと、利用者さんから「次は紅葉を塗りたい」とリクエストが出てくる。受け身だった塗り絵が、能動的なアクティビティに変わります。

デジタルが解決できること

こうした現場の課題を見ていると、デジタルの塗り絵で解決できる部分がかなりあります。

素材の準備。難易度の振り分け。片付け。レク記録。これらは全部、仕組みで効率化できるものです。

「ぬりえる」では、施設スタッフの方がタブレット1台を渡すだけで塗り絵レクを始められる状態を目指しています。素材は週替わりで届く。難易度はワンタップで切り替えられる。完了したら活動記録が自動で残る。

そうなれば、スタッフさんは「記録」ではなく「利用者さんとの会話」に時間を使えるようになります。

実際にどこまでできるかは、これから現場の方と一緒に検証していく予定です。